国の重要文化財!久米島の伝統工芸品「久米島紬」とは?久米島紬の特徴や魅力を徹底解説
目次
国の重要文化財にも指定されている久米島紬とは?
久米島で重要無形文化財に指定されている工芸品の、久米島紬をご存知でしょうか。
久米島紬とは、天然染料や泥染による色や風合いが独特で、希少性の高い久米島伝統の織物のことです。
14世紀〜15世紀に広まったといわれている養蚕産業の発達とともに、日本全国に伝播されていった久米島紬は、日本の織物に使われる紬の起源ともなっています。
特に久米島紬は職人達の想いが込められており、紬糸特有のしなやかで品のある風合いが、気品や着心地の良さを作り出しているといわれます。
今回は、そんな久米島紬の歴史や特徴などについてご紹介しますので、ぜひご覧ください。
紬(つむぎ)とは?
紬は、紬糸でつくる先染めの織物のことで、布表面の生地には蚕の繭の糸でできた、絹糸が使われています。
巧みに織り込まれた絹糸特有の、ツルツルとした触り心地と、上品な光沢感が特徴です。
また先染めというのは、糸の状態から染め、織りによってさまざまな柄を表現していく手法のことです。
この手法は先に染めてある糸を、機械や手機を使って織るという繊細な技術が必要な作業となっています。
一つの作品が一人の織子職人の手織りによって丹念に作られる貴重なものなのです。
久米島紬の特徴
久米島紬には、他のどの織物にもない独特な特徴が複数あります。
それは色などの見た目だけではなく、着心地や手触りにも影響を与えており、久米島紬の希少性を高めているといえるでしょう。
そんな久米島紬の特徴について、以下にて詳しくお伝えしていきますので、引き続きお楽しみください。
天然染料が作り出す独特な色
久米島紬の最大の特徴は、染める際の染料に天然のものが使われていることです。
久米島紬には、基本色と呼ばれる5色の色があり、それぞれの深い色合いを出すためには、染料の存在が必須です。
その染料には、久米島ならではの植物や現地でとれた泥を使用し、泥染めや草木染めという技法で生地に染め付けていきます。
なお、植物というのは主に、島内の山野に生息しているグール、テカチ、楊梅、ユウナ、クルボーなどです。
こうした天然素材でつくり出される色合いは、光沢のある落ち着いた色目や黒色が多いですが、中には黄色や若草色などもあり、どれも独特な美しい色に染まります。
絣(かすり)括り
久米島紬では定番といわれている「絣模様」は、デザインがかすれているように見えるのが特徴の、文様織の一つです。
久米島のとある文献には、この絣模様を織る絣織り技法は、明治40年頃に奄美大島から久米島に導入されたものと記されています。
絣を織るには、部分的に糸の束を綿糸でくくり、防染してから染め上げていきます。
着心地の良さ
久米島紬はその独特なデザインや色合い、光沢だけでなく着心地の良さもあり、全国で高く評価されています。
特に生地そのものに柔らかさやしなやかさ、そして保温性があるため、着る人の満足度も高いです。
また、生地そのものの丈夫さにも定評があり、長く着られる織物としても人気があります。
久米島紬の歴史
久米島紬の歴史は非常に古く、その起源は室町時代まで遡ります。
古い歴史書によれば、14世紀末頃に久米島の堂之比屋という人物が、中国から来た人と交流するようになったことをきっかけに中国に渡り、養蚕技術を学んで後に久米島に帰ってきてその技術を伝えたのがはじまりとあります。
しかし、当時はまだその技術がなかなか進展しなかったため、琉球国王の名により越前から来島した坂元普基が、蚕の飼い方、綿子や桑の木の栽培方法などを伝え、さらにその後薩摩から来島した友寄景友が紬の織り方や糸の染色方法を伝えたことで、飛躍的に紬制作の技術的が進歩していったということです。
なお、日本全国における紬の文化は、久米島から広がり本土に伝わったことでできたものと考えられており、大島紬、結城紬、久留米紬などの久米島起源とされる紬が多く現存しています。
久米島紬の制作工程とは?
久米島紬の制作工程は一般的に、以下のような流れで行われています。
ここでは、その制作工程を詳しくご紹介いたします。
・糸作り
まずは養蚕、生糸から、煮繭(しゃけん)によって繭糸のほぐれを良くするための準備をし、繭から糸を取り出し生糸にしたら、糸によりかけをしていきます。
次に精錬で不純物の除去を行い、繭の精錬、真綿作りの工程を経て糸紡ぎをします。
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・意匠設計(デザインなど)
図案作成と絣作り、印棒・種糸の作成、糸の整経、絣繰りなど。
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・染色
のり落としをして、泥染めや植物塗料染めで染色していきます。
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繊維の準備
繊維機械などで行う製織作業。
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製品の仕上げ
自然乾燥、地直し、きぬた打ち(たたき仕上げ)、湯のし仕上げなどで完成させます。
久米島紬の里 ユイマール館で久米島紬について学ぼう
久米島紬の里 ユイマール館は、久米島紬や久米島の伝統工芸観光の拠点として広く知られています。
観光スポットとして訪れるのにもおすすめなのはもちろん、久米島紬について詳しく学ぶことができる施設ですので、ぜひ家族旅行でも訪れてほしい場所です。
施設の特徴
施設内には展示資料館、ユイマール館、体験施設があります。
展示資料館では久米島紬の歴史、制作工程などが展示されており、ユイマール館にはここでしか見られない久米島紬の仕立て前の素材や、催事で着用されるかりゆしウェア、名刺入れ加工品などの展示販売もあります。
また、体験施設では、子供から大人まで体験可能な久米島紬の織り・染め体験もでき、自分でつくった織り染物を持ち帰ることができるのも魅力的です。
基本情報
営業時間: 9時〜17時(最終受け付け時間は、16時30分)
休業日: 年末年始及び旧盆など
入園料: 大人200円・子供(小中学生)100円
その他、団体料金あり
駐車場: あり
住所: 沖縄県島尻郡久米島町字真謝 1878-1
▼久米島紬の里 ユイマール館についてもっと詳しく▼
様々な体験を楽しもう
久米島紬の里 ユイマール館では、久米島紬の展示品や制作工程を見ることができるだけではなく、自分自身で実際に紬を織ったり染めたりして作品をつくる体験ができます。
制作の全工程を体験できるわけではないものの、久米島紬が仕上がっていくという最も楽しく見どころがある工程を体験できるので、ぜひ施設内での体験に参加してみてはいかがでしょうか。
コースター織り
コースター織りは、お子様からお年寄りの方までが、気軽に楽しむことのできる織物体験です。
久米島原産の土でつくった久米島焼きコーヒーカップにもぴったりの風合いの、コースターをつくることができるでしょう。
所要時間: 30分
料金: 大人2200円、小学生以下2000円
バンダナ染め
バンダナ染めでは、一枚一枚を手染めで染色する伝統的な技法を体験できます。
手染めならではの趣ある仕上がりで、一枚一枚のバンダナが異なる表情や風合いを醸し出すのもまた魅力です。
所要時間: 60分
料金: 大人2400円、小学生以下2200円
ショール草木染め
ショールの草木染めでは、植物染料を使用するため合成染料よりも手肌に優しく、自然な色合いのショールに染め上げることができます。
あえて、くすみ色や自然なムラを表現することで、個性のある色彩に染められるというのも草木染めならではの魅力です。
合成染料や化学染料ではなし得ない、おしゃれなシルク染めショールをつくってみてください。
所要時間: ショールの大きさ大小ともに90分
料金: (大)5700円、(小)3700円
離島観光にはレンタカーがおすすめ!
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まとめ
今回は久米島の伝統文化を語る上では外せない、久米島紬の制作工程や歴史、魅力について、おすすめスポットを交えながらお伝えしてまいりました。
久米島観光といえば、ビーチなどのリゾート観光も良いですが、伝統工芸品に触れる体験を通して久米島の歴史と文化を学んでみるのも、また奥深い旅行になるはずです。
久米島に行かれる際は久米島紬について学びながら楽しんで、久米島文化の真髄に触れてみてはいかがでしょうか。